公益社団法人 日本スカッシュ協会

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2022.12.15

2022女子世界選手権団体戦大会レポート⑦ 大会5日目 

大会5日目を迎え、選手達の体力的にもメンタル的にも疲労が見え始める時間帯です。
予選プールを3位通過した日本チームは今日から2日間で3試合の9-12位決定プールに入ります。
その1日目は午前中に9シードのオーストラリア、夜に10シードのスイスと対戦しました。
まず、午前中のオーストラリア戦ですが、元世界ランキング13位(現37位)のDonna Lobbanがエースでいて、
過去一度も日本チームとしては勝利していないチームです。
正直、順位決定戦は各チームの実力が拮抗していて一つも気が抜けないし、
コンディションがどんどん落ちていく選手もいるので各選手が与えられた仕事をきっちり理解してチームの為に協力してやっていく総力戦となりました。
試合順が1-3-2でエースの渡邉からスタートとなり、日本にとってもオーストラリアにとっても落とせない試合となります。
ベースラリーの速度に分があるのが渡邉だったので、ゲームのスタートからしっかりラリーをしてシンプルに攻めていくつもりでした。
しかし、ここまでの連戦の疲労から思った以上に体のリアクションが悪く、細かいショットミスも目立つ苦しい展開となったのは予想外でしたね。
また、Donna Lobbanが要所で見せてくる巧みなロブとドロップのコンボにペースダウンされ足のキレも奪われました。この時点でゲームカウント1-1。
そしてここからが渡邉の今の強さだなと感じた3ゲーム目の序盤。
リズムを崩されギアの上がらない体を強引に精神力と筋力でエンジンかけてギアチェンジさせたのは圧巻でした。
チームの為にも、この試合のキーポイントとなる場面で上がらないギアを強引に上げに行った判断と精神力と底力は本当の意味でチームを助ける働きだったと思います。
その後もDonna Lobbanのゲームメイクに苦しめられはしましたが、しっかりと勝ち切ってくれました。
続く2試合目、Alexandra Haydon(75位)と杉本のマッチアップ。
初戦となったフランス戦を彷彿とさせるくらい序盤から体のキレも良く、ドライブの長さも良かったです。
特に、フィンランド戦後にクロスドライブのコースにフォーカスして練習た事でフィーリングが改善されたのが本当に大きかったと思います。
たった数時間にも満たない練習時間でも特化してフォーカスすることで修正できたのは、杉本の状態の良さが物語ってましたね。
2ゲームの序盤で少しミスが多く出てしまいそのゲームを落としてしまったのは反省点ではありますが、
その後のゲームはオーソドックスなラリーを展開する相手にしっかりミスを減らして、
最後までサボらずにハードワークしてくれてチームに勝をもたらしてくれました。
チームの勝敗が決まった後の緑川の試合はレポートの最後に書かせてもらいます。
午前中にシードの上位チームを撃破し、少ない休み時間で各自がケアに専念し夜のスイス戦を迎えます。
こちらも日本よりシードが上の10位と気が抜けません。
日本のオーダーは午前の試合で活躍した杉本を休ませ、佐野を投入します。
試合順は午前と同様に1-3-2。
今大会5試合目の出番となった渡邉ですが、疲労がないといえば噓になるほど疲労感はあったと思います。
しかし、Chindy Merlo(43位)を序盤から終始圧倒しましたね。
ドライブラリーのスピード、クオリティは午前中にDonna Lobbanとやったことで、
Donna Lobbanより格下の相手となり余裕が出たのが大きな要因だったと思います。
正直、どの部分でもDonna Lobbanの方が高かったことから、渡邉を助けた形となりましたね。
2ゲーム目に0ゲームを記録する圧勝でした。
良い流れをそのまま勝利につなげたい日本チームはここまでチームオーダーで中々大きな舞台や勝負のかかる試合に
チャンスが巡ってこなかった佐野がそのうっぷんを晴らすかの如く躍動します。
Ambre Allinckxは世界ランクこそ134位と他の選手より低いですが、
スイスのナショナルランキングでは43位のChindy Merloより上の2位にランクインしている選手です。
高身長でリーチも長く、いかにTポジションから動かして得点を積み上げるかがカギとなってました。
昨日も書きましたが、出番を待つ間もしっかり自分を成長させようと練習をしてましたし、内容も日々よく変化していたと感じます。
その地道な努力の成果が試合全体を通じてドライブのクオリティアップとストロングポイントであるボーストの効果アップに繋がっていたのではないでしょうか。
左利きの利点でもるコート左サイドを使ったベースラリー、そこからボーストでタイミングをずらしていく佐野らしい試合内容だったと思います。
まだまだ、細かいミスは多いですが、結果を求められる試合でしっかり結果を出せたのは良かったのではないでしょうか。
また、チーム戦特有の空気感を味方につける為、要所のところでガッツポーズがでたり、シャウトしたり、
普段しない事にもチャレンジしてくれてチームに勢いと勝利を届けてくれました。
これにより激戦が予想されていた2試合をますは勝利でき、史上初の一桁順位を狙える位置までは来ました。
明日の南アフリカ戦に勝てばわかりやすく9位!負けたら色々ややこしくなるので考えてません(笑)
とにかく泣いても笑っても最終戦ですので、チーム全員がしっかりと与えられた仕事をこなして勝利を届けたいと思います!!
ここからは番外編と言いますか、今日の2試合の最終試合を戦ってくれた緑川についてです。
今日の2試合、チームの勝敗が決まった後もプール戦の為、試合を行わなくてはいけない状況でした。
勿論、勝敗で並んだ場合、得失ゲーム等でチームの順位が変動する為、すごく大事な試合ではあります。
しかしながら、プレーする選手たちのモチベーション維持は難しく、
直前まで張りつめていたチームの緊張感も一瞬緩むのでとても表現しづらい空気感での試合になります。
また、世界選手権における他のチームの2番手は元一番手であったり、現役の世界ランカーでそれなりの選手であり、
穴がなく、必ず一つはストロングポイントがあるような選手が当たり前です。
今日の2試合、色々な要素が緑川にとって試練だったと思います。
「チームの為に勝たなきゃいけないのに…」「気持ちが乗っていけない」「みんな勝ってるのに私だけ…」とか色々な思いが巡ってた事でしょう。
正直、2試合とも本来の緑川のプレーはさせてもらえなかったし、それを跳ね返せるだけのパワーがなかった内容でした。
最年少ながらここまでチーム最多の6連戦を戦い、気持ちは疲れていないと思っていてもどうにもならない状況だったかなと思います。
1週間のチーム戦をたった4人で戦い抜かないといけない中でチームオーダーを管理する側としては正直、毎日頭を悩ませます。
選手個々の気持ちも良く分かってしまいますし、選択に後悔してはいけないけど後悔したくなる時もあります。
ただ、今大会、最終日を迎えるまでに杉本、佐野のコンディションが良く余裕が生まれているのも、
渡邉が休めるところで休めたのも緑川が全てカバーしてくれて元気に出場してくれたからだと感謝しています。
あとはあなたの頑張りを先輩達に託しましょう。
まだ、明日の試合がありますし、大会も終わってないのでこんな事を書かなくてもとは思ったのですが、書きたくなってしまいました。
長々とお付き合いありがとうございました(笑)
では、日本チーム最後の戦いに大きなご声援よろしくお願いします!!!
チームマネージャー兼コーチ
松本淳
<試合結果>
日本対オーストラリア
渡邉 bt Chindy Merlo 3-1
杉本 bt Alexandra Haydon 3-1
緑川lost to Jessica Turnbull 0-3
日本対スイス
渡邉 bt Chindy Merlo 3-0
佐野 bt Ambre Allinckx 3-0
緑川 lost to Nadia Pfister 1-3
<明日の試合>
日本対南アフリカ 12:00~(日本時間PM7:00~)
試合順 3-1-2
 
※この事業は、競技力向上事業助成金を受けて実施されています。

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