公益社団法人 日本スカッシュ協会

トップ選手紹介ナショナルチーム

2018.06.23

第13回東アジア選手権大会レポート・3日目 

今日は午前中に今大会の大一番である日韓戦、午後からマカオ戦が行われました。
アジア選手権では男女とも韓国に惜敗。
今大会も地元とあってほぼベストメンバーの布陣で来てます。
過去の対戦も日韓戦はすんなり終わったことが無く、今回も最後までもつれる展開となりました。
 
<韓国戦>
◆第1試合:Masaki Suzuki  vs  Geondong Lee◆
団体戦の大事な先方戦。
昨日同様、鈴木選手は立ち上がりから硬さが見られ序盤から主導権を握られる苦しい展開になります。第1ゲームの中盤から持ち味のドライブとリーチを生かしたカウンターボレーで流れを作ったのですが、逃げ切られてゲームを落とします。
第2ゲームに入り、ドライブの長さが安定しはじめ相手をバックコートに下げることが出来いい流れを作りかけますが、このゲームだけでストローク6回と自ら流れを断ってしまったのが本当に勿体なかったです。
そんな重苦しい流れの中で切り替えが大事になる第3ゲームですが、序盤からお互いの接触が多くなりリズムを作るのが難しい展開の中、ドライブの長さが少し戻ったことでドロップのコンビネーションが決まりだし鈴木選手が一番力を発揮できる流れに持っていけました。
ここから巻き返しを期待した第4ゲーム目ですが、スタートと同時にミスと相手が早めに仕掛けてきた展開に対応が遅れ大量リードを許す苦しい状況になってしまい善戦むなしく敗戦となりました。
決して勝てない試合内容ではなかっただけに勿体なかった部分は大きく、今後鈴木選手が大成してく為には海外での試合経験は勿論、ショットセレクションと細かいムーブメントの向上が必要だと感じた内容でした。
 
◆第2試合:Risa Sugimoto  vs  Euntschan Ahn◆
日本が1敗で迎えた第2試合。
第1ゲームに入る前に話していた通り、スタートとともに勢いよく良いリズムで主導権争いを制してゲームには入れていました。昨日もそうですが、杉本選手はゲームの立ち上がりが本当に安定してきました。慣れない海外の環境でもしっかりとアップをこなし自分のボールをスタートから打てるのは大きく成長した部分だと感じます。
良いリズムで主導権が握れたことで得意のドライブが生きプレッシャーを与えミスを誘ったり、リズムが良い分、相手の仕掛けに素早くリアクションしカウンターショットでしっかり得点できゲームを先取します。
第2ゲームに入り、Ahn選手がミスしていた部分を修正し一進一退の攻防になります。ゲーム終盤で勿体ないミスが少し出てゲームを落とすことになりましたが、内容的には修正しなくても問題かったと思います。
第3ゲームは第2ゲームまでに効果的だったドライブのバランスが悪くなり、バックコートで点数が取れなくなった分、中盤からフロントコートのアプローチが増えてしまいカウンターを食らうシチュエーションが多くみられました。良い流れで来ていたドライブラリーに対し我慢してきたAhn選手に我慢比べで負けてしまったのがこのゲームの敗因かもしれません。
後が無くなった第4ゲーム。もう一回ドライブラリーで我慢をしたかったのですが、逆にAhn選手の仕掛けが早くなり後手を踏んだ形になってしまいました。17インチのティンサイズという事もありボーストとミドルコートからのドロップでフロントで崩され、前に意識が行ったところを後ろに抜かれる苦しい展開になり立て直すのは本当に困難だったと思います。
結果的に1-3で敗れることになってしまいましたが、昨日に引き続き杉本選手のパフォーマンスは良く良い試合だったと思います。細かいミスはありますが、レベルアップと最近のコンディションの良さを感じれた試合内容でした。
 
◆第3試合:Tomotaka Endo  vs  Sehyun Lee◆
チームとして後が無くなってしまい難しい状況下の中でも頼れるのがエースですね。
今大会日本の1番手として、昨日も良いプレーを見せてくれていた遠藤選手が第1ゲーム序盤から勢いのあるラリーに時折トリッキーなショットを織り交ぜ、相手の良い部分をことごとく潰してくれてました。
所々ミスは出た為、スコアは競りましたが内容的には終始主導権を握っていたと思います。
1ゲームを先取した第2ゲーム、相手もミスしていた部分を修正したりバックサイドのタイトなドロップから崩されるラリーが目立ち始めましたが中盤以降、遠藤選手もショットの長さを再調整しコートを広く使ったプレーで競り合いを制します。
第3ゲームは序盤から相手のバックハンドドロップに苦しめられましたが、セット間からドロップを警戒する話しはしていたのとドライブを終始冷静にコントロールしていた分、最後まで主導権を渡さずに勝ちきれました。
昨日の試合を見ても思いましたが、遠藤選手は自分自身と相手の状況をよく理解してゲームメイクできている点はさすがだなと思える内容でした。少なからずミスショットはありますがリスクマネジメントをした上で入れば得点に直結するショットセレクションだったと外から見ていても思うので、日本で遠藤選手が試合をする際、若い選手たちにはゲームメイクのお手本にしてもらいと感じました。
 
◆第4試合:Misaki Kobayashi  vs  Yura Choe◆
日本の1勝2敗で迎えた4試合目。
圧勝の一言に尽きる内容でした。第1ゲームは小林選手のミスと相手のドロップショットで点数を失いますがきっちり前後のバランスを取りながらバックコートで得点を積み重ねていたので安心してみていられました。
第2ゲームに入る際、ボーストを意図的に増やしてもいいかもしれないと話し、実際にドライブとボーストのコンビネーションで完全に主導権を奪取するとほぼノーミスの内容で第2ゲームだけでなく第3ゲームも連取してくれました。
他の選手のレポートに比べると短めの内容ですが、書くことが他にないくらい良い内容のゲームだったと思います。
個人的にも長い付き合いの小林選手ですが、やはりドライブの安定感がある日はボーストとのコンビネーションを有効に使い先手をうつスタイルの方が良いリズムでラリーが出来ていると感じます。簡単なミスの数には気を付けなくてはいけませんが遠藤選手同様に、ある程度ミスは織り込み済みでリズムを作るためには致し方ない程度に捉えながら思い切りのいいプレーを8月のアジア競技大会でもしてもらえればと思います。
 
◆第5試合:Naoki Hayashi  vs  Jaejin Yoo◆
2勝2敗で迎えたラストマッチ。
3月のアジア選手権で机選手とフルセットで敗れたYoo選手との対戦となりました。。
杉本選手同様に昨日の香港戦も今日の韓国戦もゲームの入り方が安定してきたと感じれるくらい良いスタートだったと思います。
序盤からペースがあまり上がらずしっかりラリーが出来たのと、相手のミスが多く絡んだことで先手を取れ流れを作れたゲームでした。
第1ゲームを良い流れで取れ、ゲームの滑り出しも決して悪くなかった第2ゲーム。
相手の持ち味である柔らかいタッチを駆使した絶妙なドロップが徐々に牙を剥きフロントコートでプレッシャーをかけられた事でコートを広く使われてしまいました。
その為、林選手の運動量が増え振り切られるシチュエーションが多くなってしまいこのゲームを落としてしまいました。相手がまだミスをしていただけにこのゲームがキーポイントだったと痛感しています。
第3ゲーム・第4ゲームは完全に相手がゲームにマッチしてしまい、柔らかいタッチのドロップショットに加えてボーストのコンビネーションが増えたことで第2ゲーム以上にコートを広く使われてしまったのが苦しかったです。
林選手も近年、海外でのトレーニングや試合が増え急激にスカッシュの内容が良くなっていると感じました。
今回の試合も後半相手のドロップやカウンターショットにしっかり反応してピックアップ出来ていましたし、ショットのバリエーションも増えて、スピードとフィットネスも成長していました。
しかし、今回の対戦相手レベルには+αの要素がないと、善戦で終わってしまう可能性が予想できてしまうのは今後の課題だと思います。
特に今日の試合で気になった点はドロップショットのピックアップがクロスドロップやクロスドライブとクロス系に偏ってしまっていたのは非常に勿体なく感じました。
勿論、相手のドロップの精度が高く、わかっていても出来なかった部分は多いと思いますが、成長をみせてくれている今だからこそ、より高いハードルを科して日々のトレーニングに生かしてもらいたいと思いました。
 
◆総括◆
昨日の香港同様に敗戦となってしまい、アジア選手権の勝敗をひっくり返す事は出来ませんでした。
各選手のコンディションとしては良かったと思いますし、チームの雰囲気も一丸となっていたので試合をするにあたり決してマイナスな事はなかったと思います。
そんな中での敗戦は正直、悔しいです。
しかし、8月のアジア競技大会前のこの時期に韓国のほぼベストメンバーに対して、アジア競技大会の代表3選手は良い内容で戦えていましたし手ごたえは十分だったと思います。
次回の対戦では対戦相手が変わる選手もいると思いますが、各選手たちがしっかりと情報を共有できると思うのでその辺りも生かして結果に結び付けてもらいたいです。
また、林、鈴木の両選手も成長と課題がはっきりと見てとれる試合内容だったと思うので、今後のトレーニングの糧として大きく成長してくれることに私は期待します。
 
《韓国戦試合結果》
JAPAN  lost to  KOREA(2-3)
M3  Masaki Suzuki  lost to  Geondong Lee 1-3(5/11、7/11、12/10、2/11)
W2  Risa Sugimoto  lost to  Euntschan Ahn 1-3(11/9、7/11、7/11、7/11)
M1  Tomotaka Endo  beat  Sehyun Lee 3-0(12/10、13/11、11/8)
W1  Misaki Kobayashi  beat Yura Choe  3-0(11/9、11/2、11/6)
M2  Naoki Hayashi  lost to Jaejin Yoo  1-3(11/6、8/11、4/11、5/11)
 
 
 
<マカオ戦>
韓国戦が終わってから約3時間後にマカオ戦がスタートしました。
各試合、レベル差がまだあり全選手オールストレートで快勝です。
近年、ジュニアから育ってきた選手がシニア代表になり、今回も女子の2番手に14歳のジュニアを入れて経験を積ませながらしっかりと強化されてきたマカオチーム。
私が代表で対戦した時とは比較にならないほどレベルアップしてきています。
特に男子の1番手は日本のベスト8クラスの力はあり、遠藤選手をはじめ各国の1番手選手と良いラリーを何度も繰り広げていました。
フィットネスはあまりなかったですが、ミスが多かったですがタッチのセンスも良くショットが入り続けていたらかなり厄介な相手だったと思います。
しかし、2番手以降の選手との差は大きくまだ脅威に感じるほどの迫力はありませんが、PSAのマカオオープンなどを開催するくらい力を入れているマカオ協会ですから、今後は更なる底上げがされ近い将来、脅威を感じる事になるかもしれません。
 
《マカオ戦試合結果》
JAPAN  beat  MACAU(5-0)
M3  Masaki Suzuki  beat  Ka Chon Wu 3-0(11/0、11/5、11/1)
W2  Risa Sugimoto  beat  Leng Lam Leong 3-0(11/3、11/2、11/4)
M1  Tomotaka Endo  beat  Tsun Man Liu 3-0(11/7、11/7、11/9)
W1  Misaki Kobayashi  beat Kwai Chi Liu  3-0(11/5、11/5、11/3)
M2  Naoki Hayashi  lost to Keng Hei Van  3-0(11/1、11/6、11/5)
 
明日は早くも大会最終日。
最後は台湾戦になります。
今日で2敗してしまった為、優勝の可能性はなくなってしまいましたが、しっかりとメダルを確保して帰りたいと思いますので、怪我無くしっかり兜の緒を締めて挑みたいと思います。
 
 
帯同コーチ
松本淳

Asahi その感動を、わかちあう。
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